03 | 道具を使わなくなる瞬間について
この記事の方向性:
使わなくなった道具に感じる小さな罪悪感。それは「続かなかった」ではなく、身体の中で何かが変わったサインかもしれません。
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気づいたら、使わなくなっていた。
特に決めたわけではない。ある日を境に頻度が落ち、いつしか引き出しの奥に、あるいはどこに置いたのかもわからない..
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おそらく、多くの方は道具を買って、それを使わなくなることに対して、「続かなかった」と感じ、そこには小さな自責を持つかもしれません。
意志が弱い。三日坊主。やっぱり自分には向いていなかった。
そういう物語を、使わなくなった道具に投影しがちです。私もトレーニングジムを運営する中で何度この話題に触れることがあったことか..
ですが、実際には、道具との関係には「使わなくなること」が自然に含まれています。
問題は続かなかったことではなく、使わなくなった理由をどう読むかだと感じるようになりました。

道具を使いたくなる瞬間を思い出してみてください。
首が重い。肩が張っている。何か蓄積している感覚がある。その感覚が「道具を手に取る」という行動を引き起こします。つまり、道具の使用は身体のシグナルへの応答です。
使う頻度が落ちるとき、二つのことが起きている可能性があります。
ひとつは、身体のシグナルが減っていること。疲れや緊張の蓄積が、以前より少なくなっている。これは変化の証拠です。
もうひとつは、別の応答の仕方を覚えたこと。道具を使い続けるうちに、「ここが張ってきた」「この感覚のときは早めに休む」という読み方が身体に蓄積されていきます。道具がなくても、自分の状態に気づけるようになっていく。
どちらの場合も、使わなくなることは終わりではありません。
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道具を使っていた期間に、何かが身体に移っています。
「強く押されないと感じない」と思っていたのが、触れるだけで状態がわかるようになっていたとしたら。「道具がないと無理」だったのが、手のひらを当てるだけで変化を感じ取れるようになっていたとしたら。
その変化は、使わなくなって初めて気づくことが多い。使っているあいだは、道具の作用と自分の変化が混ざっていて見えにくいからです。
使わなくなった時間が、ひとつの答えを見せる。道具はすでに、身体の中に入っている。
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ひとつ、想像してみてください。
引き出しの中のもう使わなくなった道具のことを。もし、またいつか自分の身体がその道具を求めたときに、「あ、これを使えばいいんだ」そう思うだけでどんな気持ちが胸に広がっていくでしょうか?
実際に使っている時だけが道具の価値ではありません。もしもの時の備え。あるだけで安心感をくれるもの。
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「手元にある」という状態には、安心感があります。
安心したかったんだ、と気づくだけで。それがひとつの答えかもしれない。
使わないかもしれない。でも、心の拠り所として、そこにある。身体が疲弊したとき、また必要になるかもしれない。あるいは、もう必要としない自分に気づくために、比べる基準として置いておくのかもしれない。
道具との関係は、使う・使わないの二択ではなく、身体の変化とともに動いていきます。
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次回は、首と判断の関係について書きます。
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01 | 首は、いつから休めなくなったのか
何もしていないのに、疲れている感覚について
02 | 「効いている感じ」が強すぎるときに起きていること
刺激を求めてしまう身体の話
03 | 道具を使わなくなる瞬間について
それでも、手元にある意味
04 | 首が静かになると、判断が変わる
身体の状態と、思考の距離
05 | また日常に戻るための、ひと休み
休みっぱなしにしないという考え方
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執筆:早田 航(Tri-Aid 日本正規代理店)
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