野球選手へ2| 「今日は力が出ない」の正体は、 筋力ではなく、身体の“判断”かもしれない
みなさんこんにちは。
BODY PATHWAY代表の早田です。
Tri-Aid(トライエイド)の日本正規代理店として活動する一方で、
日々、アスリートの現場でフィジカルトレーニングに携わっています。
今日は、
「今日はなぜか力が出ない」
「悪くはないはずなのに、出力が乗らない」
そんな日に、身体の中で何が起きているのかを、
少し違う角度から整理してみたいと思います。
「今日は力が出ない」と感じる日
野球をやっていると、こんな日があります。
・筋力が落ちた感じはしない
・フォームも大きく崩れていない
・気持ちも、そこまで悪くない
それなのに、
・球が走らない
・出力が乗らない
・どこかでブレーキがかかる
こういうとき、多くの選手はこう考えます。
「もっと力を出さないと」
「集中が足りないのかな」
「技術的な修正が必要かも」
でも実際には、
筋力や意志の問題よりも前に、
身体が“ある判断”をしていることがあります。
身体は、出力の前に「判断」をしている
人の身体は、
「強く動く」
「速く動く」
その前に、無意識のうちに
“安全かどうか”のチェックを行っています。
ここで重要なのは、
この判断をしているのが
考えている頭(大脳皮質)ではないという点です。
もっと原始的な、
脳幹や前庭系といった領域が、
先に反応しています。
これは精神論ではありません。
かなりフィジカル寄りの話です。
投球動作で、身体が見ていること
たとえば投球動作。
腕が上がり、
体幹が回旋し、
肩関節が大きな角度をとる局面。
このとき身体は、無意識に
こんな問いを投げかけています。
「この姿勢、この角度、このスピードで、
ちゃんと“戻ってこれるか?」
ここでいう「戻ってくる」とは、
・怪我をしないか
・痛みが出ないか
といった単純な話ではありません。
動作として破綻せず、
次の動きまで含めて**“循環が完了するか”**。
そして、また安心して立てるところまで戻れるか。
身体は、無意識のレベルで
そこまでを含めた見通しを立てています。
つまり、肩関節最大外旋(MER)の局面では、
その外旋に耐えうる制動(内旋方向のコントロール)が
今の身体に備わっているかどうかを、
自動的に判断しているということです。
「戻れないかもしれない」と判断したとき
もしこのチェックで、
・出力の見込みが立たない
・どこかに不安定さを感じる
・次の動きがつながらない
そんな要素があると、
身体は即座に判断を変えます。
「今は、全力を出す局面ではない」
すると、
・出力を落とす
・動作にブレーキをかける
・スピードを抑える
といった反応が起きます。
これは失敗ではありません。
痛みや破綻が起きる前に止めるための、安全装置です。
つまり身体は常に、
自分が信頼できる構造と機能を、
非常に正確に把握しています。
出力が落ちるのは、壊れているからではない
この反応が入ると、
・関節が固まる
・呼吸が浅くなる
・動きに一瞬の「間」が出る
といった変化が現れます。
すると選手は、
「もっと出そう」とします。
でもそれは、
すでにブレーキが入った状態で、
アクセルを踏み込むようなもの。
うまくいかないのは、
ある意味、当然とも言えます。
まとめ(第2回)
「今日は力が出ない」と感じるとき、
それは筋力が足りないからでも、
気合が足りないからでもないかもしれません。
身体が、
「今はこの出力を通さない方がいい」
と判断しているだけ。
次回は、
この判断がどこで起きているのか。
そして、
なぜ「力を出そうとすると止まる」のか。
神経の“階層”という視点から、
もう一段深く見ていきます。
最後までお読みいただき、
ありがとうございました。
次回予告
野球選手へ3| 力を出そうとすると止まるのは、 身体の“主導権”が入れ替わる瞬間に起きている
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このテーマは、「神経の反応」という共通の土台から、別の角度でも掘り下げています。
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①なぜ「力を出そう」とすると、球速が落ちることがあるのか
── 神経のトーンと投球動作の話 - ②「今日は力が出ない」の正体は、筋力ではなく、身体の“判断”かもしれない
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③野球選手へ|力を出そうとすると止まるのは、
身体の“主導権”が入れ替わる瞬間に起きている - ④視線が“座る”と、身体は止まらなくなる
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執筆:早田 航(Tri-Aid 日本正規代理店)
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